新型コロナウイルスの感染が長期化し、あらゆるものに影響を与えており、特に医療機関に深刻な影響を与えています。
看護師の転職状況にはどのような影響を与えているのでしょうか。
今回はコロナ禍での看護師の転職事情について書いていきます。
コロナ禍での転職を考えている看護師の方は、ぜひ参考にしてください!
コロナ禍での看護師の現場の変化
コロナウイルスの蔓延の長期化により、病院に勤める医療従事者の仕事量は大きく増加し、職員の退職が増えています。
看護師の現場に、コロナウイルスの流行がどのように影響を及ぼしているのか見ていきましょう。
仕事内容の変化
コロナ禍において、病院やクリニックはコロナ感染者対応の最前線であるため、仕事量が増えていることは明らかです。
また、コロナ患者を対応しているかどうかに関わらず、多くの看護師が仕事量の増加を実感しています。
コロナ患者の人数が急激に増加したことと、通常の業務に加えて病院でのコロナ感染対策など、負担が大きくなっていることが原因と言えるでしょう。
2020年には、廃業になってしまった介護施設の数が過去最高になってしまったというデータもあります。
収入の変化
新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、約半数の病院施設が赤字となり、ボーナスを減らした病院もあります。
医療機関では空きの病床を確保する必要があることに加え、外来や手術などが減少し収入が大幅に減っているためです。
仕事量が大幅に増加したにも関わらず、コロナ患者に関わる看護師の約半数の収入が減り、過酷な労働環境となっています。
多くの看護師が今後の生活に大きな不安を抱いている状況です。
コロナ禍で看護師から転職する人が増えた
コロナ禍での業務量の増加や収入の減少に加え、自身の感染リスクも高い看護師は転職を考える割合が高くなっています。
離職する看護師が増えたことにより一人一人の負担が増え、時にはほかの部署に応援に行かなければなりません。
患者の数は増える一方なので、どんどん負担が増える悪循環に陥っている状況です。
2019年の看護師の離職率は約15%なのに対し、2020年は21%まで上昇しています。
看護師への差別がある
現在増えている看護師の退職理由の一つとして、看護師に対する差別の増加が挙げられます。
どんな差別かというと、子供が幼稚園や保育園に行くことを断られる、家族が会社への出勤を止められるといった内容です。
他にも職場や家庭で心無い言葉を言われるなど、精神的な苦痛から離職を決意することに繋がっています。
看護師の現場では医療崩壊が起きている
医療崩壊とは、医療従事者の環境悪化や経営状況の悪化により、従来の医療サービスを提供することが難しくなってしまう状況を指します。
今回の新型コロナウイルスの流行でよくニュースで目にした言葉かと思いますが、それだけ逼迫した状況の病院が多いことがわかりますね。
医療崩壊してしまうと、住民の方が本来の医療サービスを受けることが敵わず、サービスを提供する側の医療従事者も働きにくくなります。
職場が医療崩壊の恐れがあるとなると、収入や労働環境も不安定になるため、退職や転職を考えざるを得ない状況になるでしょう。
このような背景から、看護師の退職・転職が増加しています。
医療現場に不足しているもの
医療業界は元々人材と財源が不足している状況でしたが、今回の新型コロナウイルスの流行でより深刻な問題となっています。
現在医療現場で転職を考えている看護師の方は、この問題を把握しておくことをおすすめします。
新型コロナウイルスの影響で医療現場はどんな現状になっているのか、具体的に見ていきましょう。
お金
病院やクリニックなど医療施設の運営費用は、国の税金などの公的資金でほとんどが賄われています。
いつでも受けられる医療サービスは、国民にとって重要であるためです。
税金で賄われているからこそ、限られた財源の中でうまく運営をしていかなければならないシステムとなっています。
新型コロナウイルスの影響で、財源に打撃を受け、医療従事者の収入の減少や医療崩壊に繋がってしまう医療現場が増加しているのが現状です。
人材
医療施設の財源が不足している話をしましたが、人材も不足しています。
少子化により、全体の労働人口自体が減少し、病院など医療施設で働く人口も人材の確保が困難になっているのです。
確保が困難になっているのに対し、高齢化の影響で医療サービスを必要とする人口は増え、医療サービスの需要と供給の崩壊が進行している状況です。
2025年には看護師の労働人口が13万人程度不足すると言われています。
一人一人の業務の負担が重くなるということに繋がるので、状況は深刻です。
コロナ禍での看護師転職の現状
コロナの影響で転職を考える看護師の方はかなり多いと思いますが、現在の実際の看護師の転職市場はどうなっているのでしょうか。
転職を考えている看護師の方にとって、コロナの影響は気になりますよね。
ここからは、実際の看護師の転職市場の状況を見ていきましょう。
コロナ患者を受け入れている医療施設と受け入れていない医療施設で状況が異なるので、分けて説明していきます。
コロナ患者を受け入れている病院の現状
コロナ感染者の対応をしている医療施設では、施設内の感染防止対策やコロナ感染者の対応に追われています。
通常の業務にかなり支障をきたしているため、採用の業務にまで手が回せない施設も少なくありません。
美容外科クリニックなど一定の求人がある医療機関でも、大手グループなどは採用活動を止めているところがほとんどです。
その他の一定の求人があるクリニックでも、コロナウイルスの影響で来院数が大幅に減少したところが少なくありません。
多くの医療施設が、採用に手を回すことが厳しい状況になっています。
コロナ患者を受け入れていない病院の現状
コロナ患者を受け入れていない医療施設では、感染症対策などの業務量の増加はあるものの、コロナ感染者を受け入れている病院ほど激務ではありません。
コロナウイルス流行前と同じとまではいかないですが、採用を継続しているところが比較的多いです。
しかし、病院での面接や病院見学を自粛しているところもあり、通常の採用活動と比べるとなかなかスムーズに進まない状況です。
老人施設や病院は採用活動を継続しているところもあり、特に老人ホームなどの主要な高齢者施設は積極的に採用活動を行っています。
外来の患者数に直接影響を受けるクリニックなどと異なり、老人ホームなどの主要な高齢者施設は元々入院患者や入居者がいるので、今回のコロナ禍のような不況にも強いと言えますね。
美容外科やクリニックなどへ転職を考えていた方が、老人ホームなどの施設に転職するケースも増えています。
潜在看護師が必要とされている
潜在看護師は、資格は待っているが看護師の仕事はしていない方を指し、全国に約70万人いるとされています。
現在コロナの現場では一人でも多くの看護師を確保したいため、看護協会は潜在看護師に復職の働きかけを行っています。
このように看護師の需要はとても上がっていることは事実です。
ブランクのある看護師は転職のチャンス
コロナ禍の影響で、看護師の退職者が急激に増え、人材不足の医療施設が増えています。
今まではブランクのある看護師を採用していなかった医療施設でも、積極的に受け入れ始めているところが増えているのです。
特に派遣の看護師の需要が高まっているので、まずは派遣の働き方で転職することも一つの手段と言えます。
病院見学などはコロナの影響でほとんどオンラインとなっているので、不安も多いでしょう。
派遣であれば実際に働くことができるので、しっかりその職場を理解してから判断することができます。
未経験求人の募集が増えている
看護師の募集量の増加により、未経験の求人も増加しており、転職先は増えたと言えるでしょう。
しかし、未経験で転職できたとしても、コロナ禍の影響で十分な教育に手が回らない可能性もあります。
コロナ禍で転職するのであれば、十分な指導は期待せず自分で考えて動くことが重要です。
エージェントの利用でコロナ禍の就職活動が有利になる
コロナ禍の中、現場で働く看護師の方は、一般の人よりかなり感染リスクが高く心労が重なりやすい環境にあります。
実際にマスクや防護服を付けていても感染する可能性はありますし、不安は募る一方ですよね。
過酷な環境で働き続ければ、免疫力も低下し、身体を壊すことにもなりかねません。
実際に転職するとしてもたくさんの不安があると思うので、そんな方は看護師専門のキャリアアドバイザーに相談してみることをおすすめします。
看護師の転職サイトは多数ありますが、キャリアアドバイザーに相談できる転職サービスも多いので、ぜひ利用しましょう。
また、新型コロナウイルス感染対策として、WEB面談で転職活動をサポートしてくれるサービスも増えています。
WEB面談ではコロナ禍における最新の医療業界の情報提供や、転職活動で役に立つ実践的なアドバイスなどを受けることができるので、ぜひ利用してみましょう。
看護師転職を考えている人は早めに活動しよう
ここまで述べてきたように、新型コロナウイルスは転職を希望する側にも、採用する側にも多大な影響を及ぼしています。
確かに今すぐ転職することは困難なことではありますが、コロナウイルスが落ち着くタイミングは必ずきます。
終息すると採用活動が急激に動き出すことが予想されるので、事前の準備が重要です。
医療業界では夏の賞与後のタイミングでも退職者が増え、求人が増えることが予想されるので、早いタイミングで情報収集をしていきましょう!
今後の新型コロナウイルスの状況によって、看護師の転職市場も大きく変動することが予想されます。
転職したい医療施設がある場合は、常に情報をチェックしておきましょう!